公立中の授業参観

自分が確か高1の時だったか、妹が通う公立中学校の授業参観に行ったことがある。仕事をしている親でも見られるようにと特別に土曜の実施だったので興味本位で参加したのである。妹が通う、などと持って回った言い方をしているが要するに自分が行くはずだった中学校である。公立中には出身地の多様性が極端に欠如している代わりに、学区内に住んでいれば受け入れてくれるのだ。

 

さて最初に印象に残っているのは制服の着用である。何を当然のことをと思われるだろうが、このころにはユニクロのTシャツと綿パンで登校するのが当たり前になっていて、たまに行く塾の特別授業で制服を着ている人がいても、バラバラなので印象に残りづらいのだ。統一された制服はそれだけでちょっとした威圧感があるし、細々とした規定が21世紀も初頭とは言い難くなった時代に身の回りに実在し、実際に効力を持っていることにも驚いた。

 

そして1時間目は体育で全国運動調査だか何だかの体力測定で、生徒が恐ろしいほど揃った礼を披露し順次行う測定も非常にキビキビとしているものだった。それなのに怖い顔をした先生からは『遅い』と怒号が飛び、それで動きが一段と良くなる。参観向けに厳しくしているものかと思ったがそうでもないらしい。誇張表現だが、特殊部隊でも養成しているのかと考えたものだ。

 

そして2時間目は社会(地理)、これまた怖い思いをした。生徒が何と揃って前を向いて静かにノートをとっているのだ。そして、教師の声に何でもないはずなのに威圧感があった。体育でさえないのに、一般的な公立中の範疇から外れない所であるはずなのに規律が整っていて、もしかすると自分もこの一員になっていたかと思うと少し身震いがするのであった。