1日1時間勉強法

順天堂大学のある医学生が、午前と昼過ぎにラグビーの練習をし自由時間を3時間半取りつつ1日に1時間の勉強で合格したという。大したものである。何か不思議な力で入ったのだと批判する向きもあるが、自分はそこまで気にしていない。

 

まず、そもそも例のスケジュールが毎日のものとは言っていない。彼の出身高校には有力な教師陣が揃っているだろうから学校で教えてもらうこともできる。練習のない日にはしっかり勉強していたのであろう。あるいは受験学年以前からの積み重ねがあったのかもしれない。学校のない日の勉強時間が短い例を挙げたからといって不思議な力を作用させたと勘ぐるのは誤りである。

 

そして、不思議な力が本物だったとしても私立学校が入試で不正を働くのは平常運転なので騒ぐことではない。例えば私立高校の大半が、内申点や模試の成績が足りていれば合格をほのめかし受験すれば実際に多少点が足りていなかろうと合格にすることはよく知られている。この合格確約問題は時折ニュースにもなるが、公立高校が好きで私立の入試でまで落とされたくない中学生ととにかく生徒を確保したい学校側に都合がいいためか続いている。

 

そもそも、アドミッションポリシーに沿って入学させたい人間を合格させるのが入試である。順天堂大学のそれは、キーワードを抜き出しすると「思いやりと高い倫理観・コミュニケーション能力・主体性・熱意・意欲」といったところである。詳しくは大学のHPを見てほしい。彼の活躍がこれに適するものとして大学の入試関係者の目に留まったのであろう。

 

そして、たとえ入学時の基礎学力に懸念があったとしても医学教育の中で選抜される。特に専門分野で、やや入学の経緯が特殊だからといって彼ひとりに合理的な範疇を越えた配慮がなされることはないだろう。もし信じられないことに進級に際し特別な配慮があったとしても、固有名詞CBTや医師国試にまでは優遇の余地はない。それらを乗り越え研修医になれたなら立派である。

 

結局のところ彼を不正者と決めつけるのは誤りで、仮にそうでも合否を決めるのは大学なので文句を言う筋合いはなく、国家試験があるので不正に研修医になることもない、といったあたりである。勉強していないことを誇示する向きにはやや言いたいこともあるが、自分も似たことをしていたので何とも言えない。その写真を最後に載せておく。他の人が字面どおりに受け取って真似しないか心配だが、教師や予備校講師の忠告より1アスリートの言葉を重視する人はそういないだろうから大丈夫なはずだ。

 

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