闇風呂

入浴の仕方には色々と家庭で継承されてきた流派があり、各々好きなやり方で浸かっている、または浸からないでいるものと思う。

 

さて、通信制の医学部に通い日がな一日光る画面を見て生活していると、どうしても目が疲れてくる。努めて画面を見ない時間を作ろうにも、スマホ中毒の私は意識がある限り、自転車を転がしている時は別としてもどうしてもtwitterが気になってしまう。

 

そこで私が気づき、気に入っているのは電気を消して思い切り暗くして入浴する闇風呂とでもいうべき手法である。その名の通り普通は点灯させる電気を消して入るのだ。

 

ただし浴室の室内灯を消灯しただけでは大して暗くならない。湯沸かし器の操作盤が光り、外の電灯の光が迷いこみ、廊下からも光が入るからだ。これでは明るくて闇風呂にならない。特に問題になるのは操作盤の光で、物で隠すには微妙に位置が高く、操作して光らなくすることもできない。

 

そこで、遮光性抜群のアルミホイルで操作盤と、ついでに脱衣所のすりガラス窓を覆い思いっきり暗くする手法を気に入っている。外からの光はそこまで明るくなく、それまで遮蔽してしまうと本格的に何も見えなくなるのでそのまま入れるようにしている。

 

電灯のある道路に面し、採光に配慮されてしまっている自室では実現しない暗さを簡単に実現できるのがありがたい。普段は全く仕事をしない眼の暗順応が働き、1/5世紀ばかり入った我が家の風呂であるのでシャンプーの使用も全く問題がない。こうでもしなければ使われない暗順応の仕組みの生存確認ができて妙な嬉しさがある。

 

身体のピークはすでに迎えてしまったと分からされる21歳のこの頃であるが、足腰や目が更に衰えてしまっては危険でこんなことはできないので若いうちだけの楽しみである。 そもそも一人でプライバシーが保たれた入浴自体が健康であるときの特権でありそのうち、その親が義務教育を受けているかどうかの世代の人間に世話を受けなければ垢も流せないようになってしまうだろうか。40年か50年もすれば流石に入浴介助の立派な機械ができているだろうか。