大学の歩き方:MSDマニュアル

 対面でやるのは一部実習と試験だけである通信制の医学部に通っていると、情報収集にはどうしてもネットを使うこととなる。zoom講義では「わからないことがあったら教室凸してくれて構わない」と先生がたが言ってくださるし、図書館も開いているものの県境をまたいだ移動は止せと言われており、また往復にかける2時間の消費がどうにもつらいため足が遠のく。

 

 さて、2年次に基礎医学を学んだ時はweb検索に特に不満はなかったが3年になり具体的な病気を扱うようになると少し問題が生じる。患者やその家族向けに書かれた記事が検索上位に多くあらわれるのだ。

 

 これは特に患者の多い病気では自然で当然なことであるが、専門教育2年目に入り医学用語を一部といえど見慣れてきた身としては用語が平易なものに置き換えられていると学習に困る。特に症状などは医療者向けと非医療者向けで用語が全く異なるので患者向けに画かれているものを覚えるだけでは点が取れない。

 

 ちなみに街角のクリニックで自分が医学生であることを明かすと多少説明が詳しくなる。低学年なので先生の遠慮を少し取る程度にしかならないが、高学年になるとタームをそのまま使うようになるだろうか。

 

それはさておき、大学のテストに向けて勉強する時は病院の公開されているマニュアルや症例報告のpdfを漁って勉強するほかに、医学生向けor医療者向けの記事があるサイトを好んで使っている。難病情報センター(https://www.nanbyou.or.jp)も中々頼りになるがこれは名前通り難病の扱いに特化しているので、MSDマニュアルプロフェッショナル版(https://www.msdmanuals.com/ja-jp/プロフェッショナル)を好んで用いている。

 

これはアメリカの製薬会社メルクアンドカンパニーにより作られた医学書の無料オンライン版で、膨大な量の医学情報が適度に専門用語を交えつつ体裁をよく整えられて記載されている。検索性もかなりよいし、国や大学医学部が載せている情報と同程度に信頼できる。

 

大学から配布された講義資料にあたって勉強する時に生じた疑問点は概ねMSDマニュアルで検索して解決する。プロフェッショナル版をよく使うが難解な場合は家庭版を理解してそれを一種の補助線として読み解くことも多い。米国の医療事情に合わせているため、日本の国情に完璧に寄り添っているとは言い難いことだけが難点である。