ハイブリッド講義

緊急事態宣言が明け2週間、感染者数の報告も落ち着いた数となった。地方の県では報告者0のこともあり喜ばしいことだ。都市部の病院は延期して積んだ治療を行っているだろう(不急とされる治療でも概ね早い方がよい)し、夕勤の人たち用の外食屋や飲み屋はまだやってない、そのくらいの状況である。

 

さて、最新の緊急事態宣言前の7月第二週ごろ、登校が許可され講義室で受けるか遠隔で受けるか自由に選択されるハイブリッド講義があった。私は紙と指定された課題の提出をこなすついでに覗いてみたのだが、その日は学年に100人少々いて実際にいたのは片手で数え切れるほどであった。その一日しか出なかったので他の日はどうだったか分からない。

 

世の中には対面講義を求める大学生もいるのに何故自分の学部ではほとんど出席が無いかというと、まずは紙上で完結する講義だからである。紙上というよりin silicoならぬon silico、ケイ素上という方が現代的だろうか。ケイ素上学と言うと形而上学と平仮名一文字違いである。それはどうでもいいか。

 

これが実際の病院を見てナンボの病院実習、あるいは集団でしかできない実技系のもの、家で扱えない実験器具や機械が必須のもの、ネットで簡単には検索できない文献にあたるべきものなどであれば登校していた。しかし医学教育の3年次、4年次というものは各診療科にまつわる個々の病気の疫学や原因や症状に治療などある種ネットに落ちている知識を国試合格に向け学ぶものである。web教材も、需要が年に1万人もいない割にはやけに充実している。

 

現状では物理的に席に出る出席をしようがしまいが学習できることが変わらず、かといって他に現地に赴く目的もない。それゆえ通学にかかる2時間と交通費1200円とその他費用を嫌って、自宅で授業姿勢を90°ほど間違えつつ受講するのだった。

 

インターネットを通じてケイ素上で学問ができるのは非常にありがたいことである。