大学の歩き方:授業後の質問

『マンマンス』という単位をご存じだろうか。要は人月、1人が1か月かかってやる作業量のことである。『30人のクラスで2分遅刻すれば1時間を無駄にしたことになる』という言説は昔からよくいわれるが、無駄にしたものは1時間ではなく1人×時、1/160人月である。一カ月は概ね700時間少々に換算されるが、皆様知っての通りお仕事上の概念なので8時間×20日/月で計算する。

 

さて、講義の大半ではzoomを切られる直前に質疑応答の時間が設けられる。ここで質問をするとどうなるだろう。質問に30秒かかり、その返答で丁寧に説明頂くのが1分半ほど要するので合計で2分かかり、概ね100人が入室しているから200人分、3.3人時、0.02人月を費やすことになる。

 

先生方はよく講義を練られているから、0.02人月を費やすほどの有意義な質問はなかなか浮かんでこない。そのためほとんどの場合は形式的なものと化していて、10秒程度の待機のあと終了を宣言されることが常である。無論個人的にメールで質問を投げることもあるし、0.02人月に相当する価値があると判断した場合は声を上げることもある。

 

無論、質問をすればいつでも周辺事項まで含めて説明を下さるから真に形式的なものではないことは分っているが、早く受講を終わらせたい人の方が多いため実質的にはそうなっている。

 

例外はひとつあって、先生が『質問が来るまで授業を終了しません』とおっしゃる場合である。早くzoomを閉じたい一心かもしれないが、この時には立派な質問が出てくることを考えると他の講義でも人月の損失が無ければ質問したいと考えている人も多そうだ。