将来の決め打ち

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この記事を今日見かけて驚いた。医学部で感染症科や救急科に進むことを条件に(専門医資格の取得が返済免除の条件になるだろうか)する優先枠を地域枠の中に作るのだという。地域枠の現状を鑑みるに、離脱すれば契約通り1000万円ほどの奨学金を耳を揃えて返しても度を超えた嫌がらせが行われるのだろう。残酷なことである。

 

親世代祖父母世代と似たような暮らしをしていた時代ならいいが、今は5年もすれば技術や文化の変化で全く生活が違う現代である。医者は人間の体が残っている限り石器時代に戻っても存在し続ける仕事であるが科学文明の粋であるところの現代医療は日々刻刻と変化している。

 

その環境の中で、5年先10年先の進路を決め打ちするのは危険なことである。医学部への進学自体6年在学して企業や官公庁への新卒での就職をほぼ放棄するので相当チャレンジングな決め打ちであるが、相応のリターンが見込めるので選択する人が多い。

 

これに地域枠が加わるとなると、卒後9年間拘束されて結局15年の決め打ちである。無論その利益と天秤にかけて決めることだが、私は18歳の段階でそこまでの判断を強いることを恐ろしく思う。これが例えば、中学入試で特定の学部の学士を取ることを条件とした優先枠、大学入試で院への進学を条件とする優先枠などであれば批判されて当然であろうけれど、公共の福祉にかなうためか認められている。

 

最初は全国で40人規模から始めるというが、進学した後にミスマッチで苦しむ後輩が出ないことを祈るばかりである。そもそも感染症科に進む特別枠を作ったとして、その人が卒業するのは6年後だがその時にもCOVID19は流行っているのだろうか。将来また発生するであろう感染症に備えるのは重要であろうけれど、その説明もされたい所である。