検査無しの診断

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220124/amp/k10013447951000.html

 

今日見たニュースに驚きのものがあった。病院での検査無しに、新型コロナウイルス感染症の感染者だと認定できるようにするというのだ。詳細はまだ固まりきっていないようだが患者側が自身で検査キットを用いたのを使ってよいとか、電話などの遠隔医療の活用を求めるとかの言い草である。

 

検査のキャパが追っつかない為の苦肉の策ではあるとはいえそれでも下策に思われる。まず詐病があまりにも容易である。感染すると額に『コロナ』なんて文字が浮かぶような分かりやすい病気なら元からPCR検査なんぞ必要ない。発熱、倦怠感、咳などといった症状は色々な感染症やそれ以外の病気でも現れる。

 

今までなら検査で陰性が出れば今のところは違うと否定してきたところ、検査無しで診断書を出すとなれば余程うまくガイドラインを組まない限り相当数の感染者を見逃すか、逆に何でもかんでも新型コロナだと診断するに至る可能性がある。特に遠隔では情報も限られる。とにかく拡散を止めたいとなれば少々咳をして疲れた様子を見せるだけで診断書を貰うに至る可能性が高い。

 

診断キットで無理矢理陽性を出せば医療従事者の介在なくして罹患者を名乗れるなら自宅療養の支援物資で食費を浮かして長期休暇と洒落込む人も出るだろう。

 

逆に他の病気のために来院し、うっかりコロナと診断されて職場に迷惑がかかってはたまらんと受診を避ける向きも出るだろう。

また、入試など控えているのにコロナ陽性で受験できませんとなれば一生後悔するのでその場合も病院に寄り付かなくなる。インフルエンザなんかはわざわざ検査しない事もあるが今のコロナとは社会への影響力が全然違う。

 

そういえば陽性だと診断されれば一時金を払います、という保険商品もあるがその担当者は今頃頭を抱えて今後の対応を協議しているに違いない。ポンポン診断書が書かれては一人ひとりへの支払いは少額でも大損である。

 

それに、そのどんぶり勘定で感染者数を数え上げても判断の指標として全く信用ならない。ちゃんと検査した分を分離するなら同じ罹患者なのにと批難される。事態の推移を見守りたい。