県境

年齢が1桁のころは別として、県境を越えることは日常の一コマである。塾のため日々行き来し、学校のため定期券をかざし、小旅行も奈良だのヅカだの嵐山だのと大阪府の外。大学も県境、唯一県というものが絡まない県境を越えて1年行った。

2年目からはコロナの数少ない恩恵で通信制になったので今が一番県境を踏むことが少ない時期であろうか。まあそれはいい。

 

南関東と並んで、近畿は県境越えに苦労しない場所である。新幹線や特急、あるいは飛行機などという飛び道具を使わずとも50分もあれば大津から京都、梅田に三宮と4県の県庁所在地を移動することだってできる。

我が故郷高槻からも10分足らずで長岡京、20分で一応兵庫のアマ、30分もすれば大津、奈良だって1時間ちょっともあれば十分だ。

宗教的な理由で新快速に乗れない人でも私鉄を乗り継げば少し時間はかかるが名古屋にだって行ける。

 

翻って医学部では、県境というものが相当高い壁としてあるようだ。三次医療圏は県をまたがず、それを細分化した二次医療圏間でさえ壁があって、その範囲で済ませるべきだとの考えがあるのだという。

金の出どころからして公(おおやけ)の面がかなり強いので妥当ではあるが、物理的......というより時間的な近さに対して心理的、制度的な距離の大きさにちと違和感がある。