鶏のスープ

数日前のことだが、家の冷凍庫に押し込めて長らく忘れていた親鶏を発見したのでスープを取ることにした。

 

普通の鶏はブロイラーといって、現代文明の勝利を象徴するかのような品種改良で2か月、いや50日で3kgまでに育って雛のまま出荷され、安価な動物性蛋白源として人類の繁栄を支えている。

それに対して親鶏は2年の間連日、比喩抜きで毎日のように卵を産まされてへたった鶏である。長く生きた分旨味が強い。希少でなかなか手に入らないが、ブロイラーの父親として1年少し仕事をして回った種鶏なんてのも九州ではそこそこ手に入るらしい。羨ましいような羨ましくないような。

 

それはそれとして、熱湯を沸かした鍋に突っ込んで、茹でこぼして臭みをとるまじないをした後に白ネギの青い所や生姜チューブなどを突っ込んでコトコトコトコトと煮だした。

 

また味を抽出するおまじないとして肉を削ぎ骨を砕くなどもした。ケンタッキーのフライドチキンでさえそうだが、骨付き肉の一番うまいところは骨髄である。手羽先の小骨などは面倒でやらなかったが、大腿骨などを包丁の背でゴンゴン叩いて砕いて鍋に戻し入れた。

 

そうやって2時間以上、煮詰めて最初の半量、入れた時の肉のかさと同じくらいになったスープはほどよく白濁して美味しそうであった。目の細かいざるで濾して飲んでみた。味は.....市販の鶏ガラスープとあんまり変わらなかった。好みの分かれそうな雑味や匂いばかり強い。

 

まさに『骨折り』損だった。