信用ならぬDeepL

部活で相互にやるミニ講義をするのに、蓁伯未の中医入門というものがネットに落ちていたので使ったことがある。中国語は漢文をやったきりであまり上手く読んで意味をつかむことができない(発音は絶対無理)なのでDeepLに頼ることにした。もちろん中日翻訳で日本語らしいものを出力してくれるのだがところどころ文法に違和感がある。

 

現代の中国語から半世紀は隔たった時代の中国語であること、簡体でも繁体でもない日本の新字体に訳されていること、そしておそらくは教師データに乏しいだろう中医学の文章であることからか普段用いる英日翻訳よりもさらに信用ならない文章が出てきた。

 

幸いにして新字体に訳されているので個々の漢字の意味は分かる、漢方の用語はそのままなので理解できる。『是』とか『於』も知っている。何より内容の大筋を知っている。そのことから、苦労はしたものの原文の意図したところを9割少々までは再現することができた。

 

例えば出力された文章に『エフェドラ・スープのアーモンド』という一節があった。エフェドラは麻黄のこと、スープは湯のことである。白湯とか創味シャンタンDXとか酸辣湯の湯であるのでスープになったのだろう。

ここから復元すると麻黄湯だということがわかる。アーモンドは香りなどから杏仁と混同されることもあるので杏仁であろう。ここまでくると上記のルー語は麻黄湯の杏仁を意味するのだと分かるのだ。......原文の当該部分に『麻黄湯用杏仁~』と書いてあるので頭を使わずそこを読めばこの例では済むが。

 

それでも字を読めばほんのり意味が分かる新字体の中国語であってさえ、機械翻訳を通した方が読み解く時間を節約できる。昔のgoogle翻訳では補助線にもしづらいような品質だった覚えがある、いい時代になったものだ。いまだに自分自身で語学をやる必要性が失せたわけではないが、補助線として機械翻訳を使えるのはうれしいことだ。