酷暑のしのぎかた

今年の夏は暑い。まあ夏はよほどの冷夏でもなければ毎年暑いので台風が暑気を吹き飛ばしてくれるまで耐え忍ぶばかりだが、特に今年は暑い。セミすら昼間は鳴かずによくその辺で落ちている。自分のところでは37とか8で済んだが、場所によっては最高気温が40℃にまで達したという。そろそろ真夏日の上の概念が必要である。緊急事態宣言下とはいえ労働の予定が週2程度で存在し、出勤せねばならないことが特にそう感じるのかもしれない。例年なら好き好んで外出する以外はひきこもっているので。

 

冬場は着込めば、あるいは着込まずとも自前の皮下脂肪でだいたいしのげてしまう(昨シーズンは外出が少なかったこともあるがついぞ厚いダウンを持ち出さずに終わった)が暑さはそうもいかない。薄着するにしてもTシャツ1枚とパンツに薄手のズボン程度が限界である。冷感素材のものもあるとはいえ実際に温度を下げるわけでない。

 

首まわりにタオルを挟み無駄に保温する空気の層を乱し、ステテコを穿いて汗を吸わせようとも35℃以上の猛暑が相手ではどうしようもない。気温の高さを表現するのに『体温くらい』との表現がよく使われるが、今日はインフルにでもかかったくらいの最高気温であった。こうなると、特に蒸すときなどは小手先の通気性や気化熱に頼った方法ではどうにもならない。

 

ここで私が最近やっているのは、(冷凍に適した)0.5L程度の水入りペットボトルを凍らせたものを小脇に挟む方法である。基本的には家で作って持参するが、気の利くコンビニがキンキンに凍らせて売ってる場合はそれを使うことも多い。

 

氷の保冷性能はかなり高く、肥えた私でも理屈の上では凍らせたペットボトル1本で0.5℃ほど冷やす能力がある。ロスなく全身を冷やすにはボトルを切開してボリボリと丸ごと胃に収めるくらいの荒業が必要だが、脇に挟むだけで圧倒的な涼感を得られ汗をかかずに済む。首筋に当てれば頭がキーンと冷えて心地よい。

 

そして周りが溶けてきたら、蓋を開けてぐっと飲めば0℃の冷水である。水を口に含んで復活したメロスの気分になれる。そしてこの状態の、薄い空気層に覆われた塊の氷は驚くほど暑さに強く数時間放置しても大半が氷のまま残る。そのPET樹脂と空気層に守られた氷塊を活用する時は手近な鉄の棒や柱に叩きつけて粉砕するか、外から水を注いで飲用の冷水として活用する。そのままでは断熱性が良すぎて冷やしてもくれないので。