巣蜜

蜂蜜は精神衛生にも健康にも良いものである。(痩身にはよくない)

サクラ印などが書いてある、プラの軟らかい容器に入ったものが主流であり安いので気軽に蜂蜜水などにできてよろしい。また、道の駅で売っているような国産のものは冷蔵庫で固めて菓子として食べても面白い。大昔に釧路の安宿に泊まった時は大瓶に詰まったトロトロの蜂蜜がパンにつけ放題だったのを思い出す。あれは美味しかった。

 

それはさておき、蜂蜜の一形態に巣蜜というものがある。幼虫などがなく蜜だけが入った区画を切り出してそのまま箱詰めした商品である。いうまでもなく中に入っているのは同じ蜂蜜であり、いい所を切り出してこないといけない分割高なのだが文字通りのハニカム構造がくしゃりと潰れてあふれ出すのが面白い食感である。

柔らかな蜜蝋の薄壁でもそれなりの、フォークを入れる時に抵抗を感じる程度の強度が出るのだから大したものだ。人間(2桁kgは当然ある)が少しは力を入れないと上から押しつぶせないので蜂にとっては誤って壊す心配のない丈夫な構造だろう。

 

通常の蜂蜜ならあって当然の遠心分離や濾過さえ経ずに製造される自然食品で、人為や添加物を嫌うある種の自然好きの人たちはこれを尊ぶ。しかし、加工が要らない綺麗な巣を大量製造する事も、ニュージーランドからはるばる1万km近く無事に輸送する事も、それを郊外都市にある輸入食品店の店頭にそこそこの値段で並べる事も全て近代以降の技術のおかげである。自然食品も結局は文明の勝利の味がすることだ。