シラフで駅員に暴力

今日は労働の為電車に乗って、その帰りでこのポスターが目についた。暴力は犯罪で酒はそれを正当化しない、もっともな話である。
f:id:Ninjin:20220105204310j:image

 

例年は600件近く暴力件数があったのに対し(18年度で656件、19年度で581件と同様のポスターにあった)6割に減っている。啓発の成果が上がったとか、人間の気性が穏やかになったというより単純にコロナ禍で電車に乗る人が6割くらいに減ったのだろう。

 

それはそれとして、その暴力件数377件の内217件『しか』酒気帯びでないことに驚いた。なんと160件も、酒も飲んでいないのに鉄道係員に暴力を振るっているのである。統計から漏れている分も、まさか酒入りの暴力ばかり見逃すはずもないから実際に4割はシラフで殴っているのだろう。

 

言うまでもなく、鉄道利用者の6割にアルコールが入っている訳もないから酒入りの方が高い割合で殴っている。とはいえエタノールが脳味噌に回ってないのにパンチするほうが怖い......などと考えたところで、酒を暴力の理由として受容していることに気が付いた。分子式C2H5OHの物質は暴力事件を起こすに足る正当な理由だ、と。

 

単なるリスクファクターと見ずに、酔っているからいい年して人を殴ることに納得がいってしまった。自己救済や報復の類を犯罪であると分かりつつも傍から見て腑に落ちる、批難する気が減弱するのに近い。

 

そもそもこの暴力事件の数が、例えば大麻覚醒剤に危険ドラッグなどが原因であるならこのような感情を覚えなかっただろう。それはその物質類の所持が違法で社会的に排除されるべき存在だからだ。

 

酒は世の中でよく受容されているが、違法な薬物による暴力を嫌うなら酒による暴力も嫌うのが妥当である。他人を害するリスクが高いものは厳罰化が考えられてもよいはずだ。

 

例えば道交法の世界では、酒気帯びによる違反は特別扱いされて他の違反どうしの組み合わせとは異なる点数加算がされて一発免停が確定、酒抜きで3点の違反が免許取り消しにつながる。運用面が厳しそうだが、通常より重い酒気帯び暴行罪(仮称)の新設があってもいい。

 

酔った自分は自分の意思から離れて動くとしても、責任は自分に降りかかる。酒は家で飲んでそのまま寝るのが安全な楽しみ方である。