相対的都会

都会と田舎の対立が定期的に話題となるが、都会とはどこを指すだろうか。世界一の人口を誇る東京以外すべてを都会ならざる地方とみなす過激派を除けば、周辺との対比で都会か地方かが決まるのではなかろうか。

 

例えば我が故郷大阪府高槻市では「とかいなか」という言葉が用いられる。中心部のタワーマンションや便利な鉄道、あるいは2つある百貨店と北半分の山村がひとつの市にあって近接していることを指す。

 

しかし京都市大阪市といった政令指定都市が電車で15分のところにあるため近郊なり衛星都市といって人口35万を数えつつも都会と考えられることは少ない。その東となりの島本町は人口3万ほどであり、こちらは周辺と比べてめぼしい商店も人口集積もない。

 

しかし似たような人口規模でも、例えば人口35万ほどである旭川市は道北の拠点として周囲から人を引き付けているし、人口3万の稚内には最北にあって一通りの都市機能が揃っている。

 

私が一昨年夏に訪れた中標津町も人口3万ほどであるが、マクドニトリといった見慣れたチェーン店や大きなショッピングモールがあり、交通面でも路線バスが一日数本とはいえ四方に走っていて道東の主要都市として立派な様子であった。

 

関空からLCCで1000km飛んだ釧路から更に100kmあまり、延々と森と畑と牧草地が続いて国道が交差するところのセイコーマート1件に驚くような人口希薄地帯を抜けた先に街並みがあって感動した覚えがある。

 

そこに生活する人の話を聞いた限りではやはりそこに無いものを求める時は釧路に、釧路になければ遠く札幌まで出なければならないので不便なようであったが、それでも相対的都会であった。

 

惜しむらくはそれが夏季のことで北海道の観光としてはオフシーズンだったことである。今年の冬、大阪の人間が煙たがれない程度に状況が良くなっていれば札幌市内観光と洒落こみたい。